Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「ほんとに、いいことよ」
伸子も素子についてそう云った。
「たいてい、わかるわ」
「しかし、そこにまた百聞一見にしかず、ということもありましてね」
ウィーン大学の宗教哲学の学生だという黒川隆三は、伸子たちが日本で学生として考えなれている若者とちがい、世馴れていて、ものをいうにも、いまのように百聞一見にしかず、というような成語をさしはさむのだった。
シュミットをさがすことは断念したらしく、黒川隆三がまた一本タバコをつけて、何か云い出そうとしたとき、廻廊の奥から一人の少年が、伸子たち一行へ向って歩いて来た。半ズボンの下から少年らしく肉の少い脛と膝小僧を出して、古いシャツの上からジャケットを着たその十一ばかりの男の子は、おとなしい様子で伸子たちの前へ立つと、ウィーンの子供らしい金髪の頭をすこしかしげるようにして、
「こんにちは」
と云った。伸子たちも、
「こんにちは」
と挨拶した。すると、男の子は、何ということなしの身ごなしでそれまで伸子たちの視線からかくされていた右手をさし出して、
「どうぞ」
と、エハガキを見せた。素子が、
「なんなの?」
と、思わずロシア語で云って少年の手にあるエハガキを上からのぞきこんだ。