Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
それは、ベルリン事件から間のないある日のことで、美しい丘の上の柱廊からはるかにウィーンの森を見はらしながら、素子が何心なくベルリンのメーデー事件について、ウィーンの新聞に何か後報がでていやしまいかと黒川隆三にきいた。そのとき黒川は、無関心な様子で、さあと云い、けりがついたんでしょう、と答えた。つづけて、ベルリンじゃ、何でも共産党が先棒をかつぐんでね、と云い、そうなんでしょう? と伸子たちに顔をむけた。コミンターンの指令どおりに、何でもしなけりゃいけないことになっているんでしょう? 黒川のそのききかたには、とげがふくまれていた。そのとき伸子は黙っていた。素子もきこえないふりをしているようだった。
いまも、気もちの害された表情で伸子が沈黙したまま、斜面の景色を眺めていると、黒川は、
「もしロシアで労働者がエハガキなんか売っていないとおっしゃるんなら、そりゃ、まだロシアが、エハガキなんか作るところまで進んでいないというだけのことですよ」
と云った。
「やめてよ! 黒川さん」
伸子が、あきれた顔に黒川を見た。
「あなたレーピンやコンチャロフスキーの絵のエハガキ見たことおありんならないの?」