Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
薄曇りしたベルリンの日の光を、ライラック色の旅行外套の肩にうけながら、伸子は瞳のこりかたまったような視線で、広場の上に、くっきりと白く円い三つの輪じるしを見つめた。バーバリ・コートを着てベレー帽をかぶっている背の高い川瀬勇は、
「いまのうちに見ておくことさ」
と、云った。
「ツェルギーベルは、手前が命令してやらせたくせに今となっちゃ、ここにいつまでも白い輪がかかれているのがたまらないんだ。場所がら、ツェルギーベルの名が世界の労働者に向って挑戦しているようなもんだからね」
その広場に面して建っているカール・リープクネヒト館に、ドイツ共産党K・P・Dの本部がおかれているのだった。素子が、まじめなような、からかうような眼つきで川瀬を見ながら、
「そのツェル何とかって奴、案外正直ものなんだな。人をうち殺させる男が、白ペンキの輪には閉口なのかしら」
「なんべんもやったあげくのことさね、もちろん。彼は遂に労働者地区ノイケルンには、白ペンキが払底していないという事実を発見せざるを得なかったのさ」
伸子たちは、声をそろえて短く笑った。
「ドイツの労働階級も、社会民主党の正体をしんからつかまないうちは泥沼だと思うな。