Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「佐々君の初舞台の成功を祝す」
川瀬勇がわざと芝居がかりで云った。みんな笑いながら互にビールのみのふちをかち合わせ、男の連中は一息で三分の一ほどのみ干した。
「――こんやは特別うまい……やっぱり、もう夏だよ」
「こりゃいい。――ぶこちゃん」
乾杯のためにビールのみをもち上げただけで、川瀬が注文してくれたサラダを待っている伸子に、素子が云った。
「これなら大丈夫だよ、アルコールなんかとても少いもん――うまいなあ」
伸子は、ひとくち飲んで、そのビールの軽い芳ばしさと、甘いようなほろ苦さを快く口のなかにしみとおらせた。
「こまったわね、これは飲まないでいる方がむずかしい」
「ははははは、けだし真なり、ですね」
中館公一郎が賛成した。
「でもフロムゴリド博士がこれを見たらどんな顔をするでしょうね」
「誰? その何とかゴリドというの」
「モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の病院のお医者。――わたしはいまごろカルルスバードで鉱泉をのんでいる筈だったのよ」
「何いってるんだ。ぶこちゃん、自分からカルルスバードはやめにしたんじゃないか」
瞼のところを薄っすり赤らめた素子が、きつい語気で云った。