Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
六十七
もと大秀の兄弟分であった大工が愛宕下の方にいることを、思いだして、それに店の手入を頼んでから、郵便局に使われていた古いその家の店が、急に土間に床が拵えられたり、天井に紙が張られたり、棚が作られたりした。一畳三十銭ばかりの安畳が、どこかの古道具屋から持運ばれたりした。
雨降がつづいて、木片や鋸屑の散らかった土間のじめじめしているようなその店へ、二人は移りこんで行った。
陳列棚などに思わぬ金がかかって、店が全く洋服屋の体裁を具えるようになるまでに、昼間お島の帯のあいだに仕舞われてある財布が、二度も三度も空になった。大工が道具箱を隅の方に寄せて、帰って行ってから、お島はまたあわただしく箪笥の抽斗から取出した着物の包をかかえて、裏から私と出て行った。
外はもう年暮の景色であった。赤い旗や紅提灯に景気をつけはじめた忙しい町のなかを、お島は込合う電車に乗って、伯母の近所の質屋の方へと心が急かれた。
六十七
ミシンや裁台などの据えつけに、それでも尚足りない分を、お島の顔で漸と工面ができたところで、二人の渡り職人と小僧とを傭い入れると、直に小野田が被服廠の下請からもらって来た仕事に働きはじめた。