Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
七十一
帰るときには、お島のいらいらした感情が、すっかり和められていた。そして明日から又初めての仕事に働くと云うことが、何かなし彼女の矜を唆った。
「こうしてはいられない」
彼女の心にはまた新しい弾力が与えられた。
七十一
晩春から夏へかけて、それでもお島が二着三着と受けて来た仕事に、多少の景気を添えていたその店も、七、八、九の三月にわたっては、金にならない直しものが偶に出るくらいで、ミシンの廻転が幾どもばったり止ってしまった。
最初お島が仲間うちの店から借りて来たサンプルを持って、註文を引出しに行ったのは、生家の居周にある昔からの知合の家などであったが、受けて来る仕事は、大抵詰襟の労働服か、自転車乗の半窄袴ぐらいのものであった。それでもお島の試された如才ない調子が、そんな仕事に適していることを証すに十分であった。
サンプルをさげて出歩いていると、男のなかに交って、地を取決めたり、値段の掛引をしたり、尺を取ったりするあいだ、お島は自分の浸っているこの頃の苦しい生活を忘れて、浮々した調子で、笑談やお世辞が何の苦もなく言えるのが、待設けない彼女の興味をそそった。