Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
八
疲れたお島の心は、取留のない物足りなさに掻乱されていた。
旧のお茶屋へ還って往くと、酒に酔った青柳は、取ちらかった座敷の真中に、座蒲団を枕にして寝ていたが、おとらも赤い顔をして、小楊枝を使っていた。
「まあ可かったね。お前お腹がすいて歩けなかったろう」おとらはお愛相を言った。
「お前、お水を頂いて来たかい」
「ええ、どっさり頂いて来ました」
お島はそうした嘘を吐くことに何の悲しみも感じなかった。
おとらはお島に御飯を食べさせると、脱いで傍に畳んであった羽織を自分に着たり、青柳に着せたりして、やがて其処を引揚げたが、町へ帰り着く頃には、もうすっかり日がくれて蛙の声が静な野中に聞え、人家には灯が点されていた。
「みんな御苦労々々々」おとらは暗い入口から声かけながら入って行ったが、養父は裏で連に何か取込んでいた。
八
お島は養父がいつまでも内に入って来ようともしず、入って来ても、飯がすむと直ぐ帳簿調に取かかったりして、無口でいるのを自分のことのように気味悪くも思った。お島はいつもするように、「肩をもみましょうか」と云って、養父の手のすいた時に、後へ廻って、養母に代って機嫌を取るようにした。