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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

九十二

九十二

そこへ引越して行ったのは、その頃開かれてあった博覧会の賑いで、土地が大した盛場になっていた為であった。

その家は、不断は眠っているような静かな根津の通りであったが、今は毎日会場からの楽隊の響が聞えたり、地方から来る色々な団体見物の宿泊所が出来たりして、近い会場の浮立った動揺が、ここへも遽しい賑かしさを漂わしていた。

陽気がややぽかついて来たところで、小野田が出した懇ろな手紙に誘われて、田舎で毎日野良仕事に憊れている彼の父親が、見物にやって来たり、お島から書送った同じ誘引状に接して、彼女が山で懇意になった人々が、どやどや入込んで来たりした。世のなかが景気づいて来たにつれて、お島たちは自分たちの浮揚るのは、何の造作もなさそうに思えていた。

この店を張るについての、二人の苦しい遣繰を少しも知らない父親は、来るとすぐ倅夫婦につれられて、会場を見せられて感激したが、これまで何一つ面白いものを見たこともない哀れな老人を、そうした盛り場に連出して悦ばせることが、お島に取っては、自分の感激に媚びるような満足であった。

上野は青葉が日に日に濃い色を見せて来ていた。