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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

お島は今でもその頃のことを善く覚えているが、彼女がここへ貰われてきたのは、七つの年であった。お島は昔気質の律義な父親に手をひかれて、或日の晩方、自分に深い憎しみを持っている母親の暴い怒と惨酷な折檻から脱れるために、野原をそっち此方彷徨いていた。時は秋の末であったらしく、近在の貧しい町の休茶屋や、飲食店などには赤い柿の実が、枝ごと吊されてあったりした。父親はそれらの休み茶屋へ入って、子供の疲れた足を劬わり休めさせ、自分も茶を呑んだり、莨をふかしたりしていたが、無智なお島は、茶屋の女が剥いてくれる柿や塩煎餅などを食べて、臆病らしい目でそこらを見まわしていた。今まで赤々していた夕陽がかげって、野面からは寒い風が吹き、方々の木立や、木立の蔭の人家、黄色い懸稲、黝い畑などが、一様に夕濛靄に裹まれて、一日苦使われて疲れた体を慵げに、往来を通ってゆく駄馬の姿などが、物悲しげみえた。お島は大きな重い車をつけられて、従順に引張られてゆく動物のしょぼしょぼした目などを見ると、何となし涙ぐまれるようであった。気の荒い母親からのがれて、娘の遣場に困っている自分の父親も可哀そうであった。