Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
とお島はくっきりと白い頬のあたりへ垂れかかって来る髪を掻あげながら、繁みの間から晴やかな笑声を洩していたが、預けられてあった里から帰って来て、今の養家へもらわれて行くまでの短い月日のあいだに、母親から受けた折檻の苦しみが、憶起された。四つか五つの時分に、焼火箸を捺つけられた痕は、今でも丸々した手の甲の肉のうえに痣のように残っている。父親に告口をしたのが憎らしいと云って、口を抓ねられたり、妹を窘めたといっては、二三尺も積っている脊戸の雪のなかへ小突出されて、息の窒るほどぎゅうぎゅう圧しつけられた。兄弟達に食物を頒けるとき、お島だけは傍に突立ったまま、物欲しそうに、黙ってみている様子が太々しいといって、何もくれなかったりした。土掻や、木鋏や、鋤鍬の仕舞われてある物置にお島はいつまでも、めそめそ泣いていて、日の暮にそのまま錠をおろされて、地鞴ふんで泣立てたことも一度や二度ではなかったようである。
父親は、その度に母親をなだめて、お島を赦してくれた。
「多勢子供も有ってみたが、こんな意地張は一人もありゃしない」母親はお島を捻りもつぶしたいような調子で父親と争った。