Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
三十五
お島は、最近の養家の人達の、自分に対するその時々の素振や言に、それと思い当ることばかり、憶出せて来た。
「畜生、今度往ったら、一捫着してやらなくちゃ承知しない」お島はそれを考えると、不人情な養母達の機嫌を取り取りして来た、自分の愚しさが腹立しかったが、それよりも鶴さんの目にみえて狎々しくなった様子に、厭気のさして来ていることが可悔かった。
二年の余も床についていた前の上さんの生きているうちから、ちょいちょい逢っていた下谷の方の女と、鶴さんが時々媾曳していることが、店のものの口吻から、お島にも漸く感づけて来た。お島はそれらの店の者に、時々思いきった小遣をくれたり、食物を奢ったりした。彼等はどうかすると、鼻ッ張の強い女主人から頭ごなしに呶鳴りつけられて、ちりちりするような事があったが、思いがけない気前を見せられることも、希らしくなかった。
鶴さんの出ていった後から、自身で得意先を一循巡って見て来たりするお島は、時には鶴さんと二人で、夜おそく土産などを提げて、好い機嫌で帰って来た。
三十五
荒い夏の風にやけて、鶴さんが北海道の旅から帰って来たのは、それから二月半も経ってからであった。