Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
四十六
おゆうは、うとうと床のなかに坐っている房吉には声もかけず、いきなり鏡台の前に立って、隠居の手から取離されたまま、そこに置かれた剃刀を見つけると、いきなり振釈いた髪を、一握ほど根元から切ってしまった。
「可悔い可悔い」跣足で飛出して来たお島に遮えられながら、おゆうは暴れ悶いて叫んだ。
漸とのことで、房吉と一緒におゆうを座敷へ連込んで来たお島の目には、髪を振乱したまま、そこに泣沈んでいるおゆうが、可憐しくも妬ましくも思えた。
「みんな鶴さんへの心中立だ」お島は心に呟きながら、低声でおゆうを宥めさすっている房吉と、それを耳にもかけず泣沈んでいるおゆうの美しい姿とを見比べた。
四十六
情婦の流れて行っている、或山国の町の一つで、暫く漂浪の生活を続けている兄の壮太郎が、其処で商売に着手していた品物の仕入かたがた、仕事の手助にお島をつれに来たのはその夏の末であった。
「阿母さんは、一体いつまで私を彼処で働かしておくつもりだろう」
植源の忙しい働き仕事や、絶え間のないそこの家のなかの紛紜に飽はてて来たお島は、息をぬきに家へやって来ると父親に零した。
長いあいだ家へ寄つきもしない壮太郎の代りに、家に居坐らせるため、植源を出て来て、父の手助に働かせられていたお島は、兄に説つけられて、その時ふいと旅に出る気になったのであった。