Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

十四

全く驚きました、表からお見かけ申したんじゃ、これほどのお住居と気のつくものはございません」

金助は相変らず歯の浮くような追従を並べて、四辺をキョロキョロ見廻しながら、お松に導かれて廊下を歩いて行きます。

十四

その時分、お君はムク犬を連れて、奥庭を歩いておりました。

いつぞやのように打掛こそ着ていないけれども、寝衣姿のままで、手には妻紫の扇子を携えて、それで拍子を取って何か小音に口ずさんで歩いて行くと、それでも例によってムクは神妙にあとをついて、築山の前の芝生まで来ました。

「ムクや、お前とここで投扇興をして遊びましょう、わたしが投げるから、お前、取っておいで」

こう言ってお君は、手にしていた扇子を颯と開いて投げました。扇子は流星のように飛んで彼方の芝生の上に落ちると、ムクはユラリと身を躍らして一飛びに飛んで行き、要のあたりを啣えて、開いたなりの扇子を、再びお君の手に渡します。

「おお、よく持って来てくれました、お前はほんとによい犬だ、わたしのムク犬や、もう一度、投げるから取っておいで、いいかい、今度は、下へ落ちないうちに受けるのですよ」

開いてあったその扇子を、ピタリと締めて、お君はそれを空中高く投げ上げました。