Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
いま出水の危険を外に聞いた竜之助が、それと共に自分の立場を考え出したことは、そうあるべきことであります。しかし、それはただ立場を考えただけに過ぎません。盲目的に考えてみただけに過ぎません。ここに引き寄せた手柄山正繁の刀が、それに向って何の役に立つものでないことはよくわかっているはずであります。この時に外で殷々と半鐘を撞き鳴らす音がしました。人の騒ぎ罵る声は、いよいよ喧しくなりました。思うに蓑笠を着けた幾多の百姓連が、得物を携えて出水出水の警戒に当るらしくあります。村の中心ともいうべきこの小泉家へ、それらの百姓がみんないったん集まって、それぞれ部署につくもののようであります。この家では一人残らず起きて、それらの百姓たちの差図や焚出しなどをはじめて上を下へと騒いでいるのが、竜之助には手に取るようにわかりますけれど、誰も竜之助のところへは面を出すものがありません。手を貸せと言って来る者もなければ、御心配なさいますなと言って見舞うものもありません。この二人のことは、もうこのごろでは小泉家の誰にも、この急に当って思い出されないほどに、交渉が少ないかかり人でありました。