Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
男の方はどちらも身分のある方でしょう。うっかりしたことを口外したら取り返しのつかないことになりますからね」
婦長はちょっと言葉をきってから、またつづけた。
「そのうちに産後の経過もよくて、退院の日になって、先方の旦那様が奥様をひきとりにいらっしゃいました。その方はその日は何となく、気むずかしそうな顔をしていらっしゃいましたが、とうとう、診察室で先生と二人きりの時、その話をきり出されたんです。――あの子供と家内とは貴方にひきとって頂こうかと思うんですが、ご承知下さるでしょうな――あの方はのっけからこう切り出されたもんです。わたしは扉の外で息をころして聞いていたのです。この西洋剃刀のような鋭い言葉をきいたときは、無関係なわたしでさえひやりとしました。ところが、どうでしょう。先生はちっとも騒がないで、まるで相手の言葉の意味がわからないようなふりをしているじゃありませんか。わたしもうじれったくて、腹がたって、いきなり扉をあけて中へはいって先生の面皮をはがしてやろうかと思いましたわ。先方の旦那様はかわいそうに言葉をふるわして、――あの子供はあなたの子供だから引きとって貰いたいのだ。