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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

しかしそんな卑劣なことは、さすがの私にもできかねる。ことに、私がそんなことを考えているすぐ隣の部屋で夕飯のしたくをしているみな子の物音を聞くと、絶対に、たといみな子が人殺しをしてもそんなことはできぬという気がしたのであった。

こういう場合に、世間の賢明な、思慮ある人々はどうするだろう?(思慮ある人々でも私のような軽率なことをしたとして)私はこれまでに読んだ小説や新聞種の中から、私の場合に似たような三角関係の例を思い出そうとしたが、頭ががんがんして何も思い出せなかった。

昨夜は一晩中そのことを考えたが、どうしてもよい知恵は浮かばなかった。今朝になっても同じであった。しかし、とにかく当面の問題として、是非とも今日のうちに、妻に行き先を知らせずに横浜へ行って雪子にあってくることが必要であった。ところが私たち夫婦は、日曜には二人で市中かもしくは近郊へ出かけるという月給取階級に通有の習慣をもっていたので、今朝、この習慣を破るについては相当な口実が必要だったのだ。しかも私は嘘をつくことはこの上なく下手で、(もっとも絶対に嘘をつかんわけではなかったが)すぐに顔の表情によって相手に嘘であることを看破されてしまうことを自分でよく意識していた。