Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
幸いに娘は無事で、店の人たちと一しょに神奈川の方へ避難していることを、やっとのことでききこみましたので、私はそこへたずねて行って娘をひきとってきたのでございます。……
まあもう少し我慢してきいて下さい。私は朋輩を殺したとは申しましても、殺意があって殺したわけじゃありません。ほんのあやまちだったことは裁判所のお方も認めて下さったので――お嬢さまもその話ぐらいはおききになったことがおありでしょうと思いますが――懲役八年という刑の宣告を受けていたのでした。もう二年まてば、立派に放免される身の上だったのです。ところが、魔がさしたというのでしょう。私はもう娘がかわいそうで、いじらしくて、どうにも、二度と刑務所へ帰る気になりませんでした。そして、あのごたごた騒ぎにまぎれて、とうとう私は今までかくれとおしてしまったのでございます。
しかし、いつまでも脱獄囚でかくれおおせるわけはありませんし、娘も脱獄囚の娘ではどこでもつかってくれ手はありません。これには私もひどく当惑しました。ところが、ふと私は、あの地震の時に、横浜では、警察でも市役所でも戸籍の原簿が焼けてしまったので、その管下の人はすぐ戸籍をとどけ出るようにという布告が出ているということをききこんだのでございます。