Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
あの人は急に足をはやめました。妾もあとについて足をはやめました。
三杯ずつキング・オブ・キングスをのんでバーを出たときは、あの人も妾もだいぶ酔っていました。二人の話には、だんだん敬語がとれ、だんだん大胆に、露骨に、互いの心を発表しあうようになりました。世間的な形式ぬきに、何でも話のできる友だちというものは一生のうちにそんなにできるものじゃありません。ところが、妾たちは、全くの偶然にそういう友だちを見つけあったのです。
「どうして貴女は僕のような人間に興味をもつんですか?」
あの人がこんなことを言ったのは、この最初の晩だったんです。妾たちがバーを出てから、銀座へ出て、日比谷へ折れて、公園の中へはいってからでした。暗いところへ来ると妾たちはもう手を握りあっていました。あの人は自分で手を出したくせに、すぐにきまりわるがって、二秒間もたつとすぐ手をふりほどこうとしましたが、妾は一たん握ったら、ぎゅっと強くにぎりしめてはなさないようにしました。
「そうね、どうしてか妾にもわかりませんわ」
こう言ったかと思うと妾は、いきなりあの人の手を口のとこまでもってきて接吻しました。