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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

妾は妾の心の中に貴方の心をしっかりと感じています。そして未来永劫に感ずるでしょう。どんな障害をも乗りこえて、私たちは凱旋将軍のように、勇敢に、かたくかたく結びつきましょう。

すべてあなたのものより

すべてわたしのものへ

妾は読み終わると眼がくらみそうになった。その瞬間妾は人間が眼をもって生まれたことを呪った。この二つの眼はこんないまわしい、こんな恐ろしい、こんな大それた手紙を見るために今まで視力を保存してきたのだろうか? 実際そう言えば、この女の筆跡はあの人の筆跡そのままだ。この手紙の中で、妾はただ二人の汚れた愛の「障害物」と見做されているに過ぎない。妾の全身の血液は一度に頭へ上がって、頭ががんがんしてきた。こんな苦しみに堪えてきた女があるだろうか?

あの人を奪われたが最後、むろん生きている意味がなくなってしまうのだ。

子供は可愛い。でも子供への愛だけで妾の生命がつなぎとめられるかどうかわからない。しかし、あのバンプをのこして、おめおめと死ぬことができるだろうか。けっきょく死んでゆくものは敗北者なのだから。

妾はこの前と同じように、あの人が帰って書斎へはいると、すぐに鍵穴へ眼をあてて中をのぞきこんだ。