Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
事の出来る間は活かして置き、金が出ぬ様になれば殺してひそかに庭の木の下へ穴を掘って埋めるのだ。世間に満ざら類のない商売でもない、物の本では折々読んだ事もある。
先ア何しろ此の態では可哀相だ、救い出して人間並みの待遇を受ける事に仕て遣り度い。縦しや秘密の場所へ隠すにしても、是では遙かに犬猫に劣る仕向だから、若し余が茲を脱け出る事が出来れば必ず此の者を連れて出よう、夫が出来ずば此の者と共に留まり自分の手で傷わって遣ろうと、余は今までに覚えぬほど惻隠の心を起した。
切ては此の室の中で窓の隙から日の光の差す辺へでも坐らせて置き度いと思い、手を取って引くと、オヤ其の手に麺麭の屑を持って居る。扨は今朝既に食物の差し入れが有ったと見える、斯う思うと誠に賤しい話では有るが余には未だ差し入れがない、時計を見れば、早朝かと思ったのに既に九時を過ぎて居る。余は俄かに空腹を感じたが、何でも余は医学士の言葉の通り断食の儘で、身体の弱り果てるまで置かれる事と見える、今からひもじいなど思う様では仕方がないと、忽ち思い直して再び彼の手を引き立てると、彼の足には鎖が附いて重さが七八貫も有ろうかと思われる