Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
第九十六回 颯と戸帳を
残念ながら嬉しいのだ。
「ハイ権田さん、喜んで私は其の事を貴方に托します、斯う云ううちにも最う汽車の時間ですから立ち去りますが、直ぐにも何うか其の手続きを」権田「ハイ手続きの手初めは先刻の森主水の捕縛を解き彼の耳へ誠の罪人の姓名を細語いても済むのです」彼は斯く云いつつ、次の間の戸を開いたが、驚く可し森主水は、グルグル巻に縛られたまま、何うしてか此の戸の外まで転がって来て居る、多分二人の話を又も立ち聴き、イヤ寝聴きして居たので有ろう、寝聴きして何と思ったか知らぬけれど其の顔には相変らず怒りの色が現われて居る、併し余は彼に拘って居る暇はないから其のまま権田に分れを告げたが、権田は余の背影を見送りつつ「安心なさい丸部さん、此の探偵吏の始末も悉皆私が引き受けました、猶私は明日にも貴方の後を追い幽霊塔へ秀子に逢いに行きますから、其の時に若し秀子が少しも貴方に愛想を盡した様子がなければ、貴方は不徳なる違約者として充分に責めますよ」と云った、彼の声は絶望した余の耳へ警鐘の様に響いて居た。
第九十六回 颯と戸帳を
余は権田時介の声を聞き流して二階を降りた、後で権田と森主水との間に何の様な応対が有ったかは知らぬ、唯早く幽霊塔へ帰って見度い一心で停車場へ駆け附けて、やっと終列車に間に合った。