Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
第七十回 鏡に写る背影
のは却って叔父の気に障るか知らんなど、取つ置いつ思案して右左の挨拶も口には出ぬ。叔父「アア又眠くなった、医者が眠れるだけ眠れと云うから、幾分か好い兆候と見える、話は此の後に幾等もする時が有るから巴里へ行くなら早く行って来い」といい褥の上に身を横たえた。余は去るに忍びぬ心地もするが、情に駆られて居る場合でない。「叔父さん何事も御心配に及びません」との一語を残して、静かに此の室を退き、仕度もそこそこに愈々此の家を出発した。巴里に行って果たして何の様な事になるか殆ど無我夢中である。
第七十回 鏡に写る背影
ポール・レペル先生とは何の先生であろう。余は夫さえも知らぬ。全く無我夢中ではあるけれど唯何となく其の人に逢いさえすれば秀子が助かる様に思う、尤も外に秀子を助くべき道はないから何が何でも此の人に逢って見ねばならぬ。
此の様な決心で塔を出て、夜に入って倫敦へは着いたが、最う終列車の出た後だ、一夜を無駄に明かすも惜しい程の場合だから、何か此の土地で秀子の為になる仕事は有るまいかと思案して、思い出したは彼の弁護士権田時介の事だ。
今まで彼の事を思い出さなんだが不思議だ。