Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
第八十五回 帽子を眉深に
用事は有りますまい、サア御勝手にお帰り成さい」云いつつ此の室の鉄の戸を開き余に指し示した。余「勿論長居する事は有りません、帰ります」後をも見ずに立ち去ろうとすると先生は最後の一言を吐いた。「念の為申して置きます、若し是で最う秀子の素性を証明する物がないなどと安心して私をイヤ私の職業を其の筋へ訴えなど成さると間違いますよ、此の顔形は此の頃権田時介氏の注文に由り、別に一組同じ物を作りましたから」
第八十五回 帽子を眉深に
権田時介に頼まれて同じ顔形を作ったと云う先生の最後の一語は、嘘か実か、或いは余をおびやかして其の筋へ訴えるのを妨げん計略の様にもあれど、又思えば権田が先に小腋に挾んで去った品が、如何にも此の顔形の箱と同じ物の様にも見えた。
併し余は深く考える心はない、唯「其の様な事は何うでも宜しい」と言い捨てて此の家を立ち出でた、余ほど時間の経った者と見え、早や夜深けて、町の往来も絶えて居る。
夜中は何うする事も出来ぬ故、宿を尋ねて一夜を明かし、翌日直ぐに英国へ帰って来たが倫敦へ着いたのは、夜の九時頃である、途々の船の中、汽車の中、唯心を動かすは松谷秀子の事ばかりで全体此の後を何う処分して好い