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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆうれいとう

幽霊塔

黒岩 涙香

Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme

Aozora Bunko

第六十一回 余の身代り

夜に入らぬうち逃げ道を探すのが肝腎だと、余は又立って室中の窓を悉く検めたが、孰れも真の牢屋の様に、鉄の棒を入れてある棒の中に、若しや上下の弛んで居るのはなかろうかと、一本々々を揺さぶって見るけれど孰れも堅固だ。幾等余の力を加えたとて其の甲斐はない。最早落胆せざらんと欲するも得ずだ。其のうちに愈々夜に入った、万感交々胸に迫るとは此の様な場合を云うだろうか。勿論腹は益々空く一方だが、寒さも追々に強く感ずる、何しろ腹に応えがなくては寒さを凌ぐ力もないと見える。最う煖炉を焚かずには居られぬ、丈夫な余さえも此の通りだから彼の白痴は猶更耐え難いだろうと思い、再び煖炉を焚き附けて次の室へ行き、残り少ない燐燧を奢って見廻すと白痴は居ぬ、扨は何所か出て行く所があるだろうかと二本目の燐燧を擦った。心細い事には最う後に三本しか残って居ぬ。

第六十一回 余の身代り

何処に出口が有って彼の白痴は居なく成ったか。二度目の燐燧で照らし見ると、居なくなったのではなく、余の寝た寝台の上に寝て居るのだ、此の様な境遇を爾まで辛くも思わぬ、其の眠りの安々と心地好げに見ゆる