Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
余が彼処へ目を附けたのは幸いで有った。其の上に丁度甚蔵の寝室の戸の開いて居る時に出て来たのは殆ど天の助けとも云う可きだ。
余が甚蔵の室へ這入ると、彼は寝て居ながら直ちに短銃を取って余を狙い「身動きをすると命がないぞ」と威かした。余は落ち着いた調子で「穴川さん、貴方は馬車で此の家へ帰り着くまで、有難いの、命の親だと私を拝まぬ許りで有ったのに、短銃を以てその謝意を表するのですか」穴川は余の顔を打ちながめて、「エ、エ、貴方ですか、大場医学士が貴方だとは云わぬ者だから」と言訳の様に云いつつも猶短銃を下げようとはせぬ。余は此の忙しい間にも大場と云う名を耳に留め、偖は秀子の服と思われる彼の日影色の被物から出た名刺に大場連斎とあったのが全く此の悪医者だなと、心の底にうなずいて「ハイ汽車の中から此の家まで貴方を介抱して来た当人です、ナニ未だ逃げもせず、貴方を害しもせぬから暫く其の短銃をお下げなさい」穴川「イヤ此の身体では此の外に頼りとする者も有りませんから下げません。けれどナニ貴方が正直にさえ仕て居れば、必ず射殺すと云う訳でもないから」