Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
事が出来ません」
報酬の受け渡しと云って、勿論余は其の様な大金を持っては居ぬ。けれど融通の附かぬ事はない、余は僅かながら親譲りの財産が有る、其の財産は父の遺命で悉く金に替え、倫敦の銀行へ托し、利殖させて有る、其の額が今は一万ポンドの上になり、余に使われるのを待って居るのだ、今こそは使って遣る可き時である、幸に此の巴里にも叔父の懇意な取引銀行が有って其の頭取は曾て英国へ来て叔父に招かれ余と同席したのみならず、余も叔父と共に其の後巴里へ来て其の頭取に饗応せられた事もある、此の人に話せば大金とはいえナニ三千や五千、一時の融通は附けてくれる。
その旨を先生に話すと先生も兼ねて其の銀行頭取を知って居るとの事だ、併し其の金を我に払うとの旨は決して頭取へも何人へも話す可からずと口留めをせられた。素より誰にも話すべき事でない、それではと愈々茲を立とうとすると先生は自分の馬車を貸して呉れた。馬車には先刻見た取り次の老人が御者役を勤めて居る、察する所此の老人は先生の真の腹心だ、先生は猶幾分か余を疑い若しや探偵ではないかと思う為、実は此の様な事をして腹心の者に余の挙動を見届けさせる