Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
言葉を聞いて益々悶掻き始めた、余は実に気の毒に堪えぬ、然り余の心には充分の慈悲があるけれど余の手先には少しも慈悲がない、彼が悶掻けば悶掻くだけ益々しめ附ける許りである、此の様を見兼ねたか、松谷秀子は青い顔で余の前に立ち「此の方が幽霊塔で私の挙動を見張って居た探偵ですか、若しそうならば何うか其の様な手荒な事を仕て下さるな、私の為に人一人を苦しめるとは非道です、私は捕縛せられようと、何うされようと最う少しも構いません」健げなる言い分では有るけれど余は唯「ナアニ」と云って聞き流した、思えば実に邪慳な乱暴な振舞いでは有る、余は自分で自分が非常な悪人に成った様に感じた、若し他人が女の為に探偵を此の様な目に逢わせたならば余は其の人を何と云うであろう、決して紳士と崇めは仕まい、それもこれも皆秀子の為だから仕方がない。
其の中に時介は次の間から出て来た、見れば四五人の人を捕縛しても余る程の長い麻繩と、白木綿の切れとを持って居る、彼は縛った上で猿轡を食ませて置く積りと見える、余の了見とても詰りそれに外ならぬ、唯秀子を無事に落ち延びさせる迄此の探偵の手足の自由を奪い、爾して声を出させぬ