Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
第百五回 時計の囚人
目に忽ち留る一物は、緑盤の縁に介まって食出して居る絹の切れで有る、見紛う様もない日影色の地合は確かに秀子の着物である。
余は之を見ると共に胸が張り裂ける様に躍った、今更怪しむ迄もない様な物の之で見れば秀子が此の緑盤を潜って塔の底へ降った事は最早火を見るより明らかと云う者だ、此の所を潜る時に、被物の端が緑盤へ引っ掛かったのを、秀子は其のまま引きちぎって進んだのだ、愈々以て猶予はならぬと、余は其の絹切れを手に握り、時計の鳴るを待つ間もなく、一時とはなった、時計の鐘は鳴った、緑盤は動いた、手に握って居る日影色の絹は盤の動くと共に脱け出て余の手の中に帰した。
第百五回 時計の囚人
時計の音と共に此の緑盤の動くを見るのは今が二度目だ、此の前にタッた一度しか見た事は無い、何処まで動いて其のあとが何の様になる事か其の辺は少しも知らぬ、けれど動く途端に其の隙間から潜り込めば宜いに違いないと余は唯此の様に思い詰めて居る、午後の一時を打つ時計の音はサア潜り込む合図である。
余は嬉しやと緑盤に手を掛けた、所が緑盤は僅かに全面の十分の一にも足らぬほど開いて其のまま止まって了った、全面の直径は凡そ二尺余りも有ろうか、切めて是が七八分通りも動き、隙間が一尺五寸ほどにでもなれば潜り込む