Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.482 Zeichen · 160 Bildschirme

Aozora Bunko

十五日

意志まで酔いつかれた長いジグザグ歩き。蹄の音が遠くからした。街上が空になって十分もした時、辻馬車が一台黒く平たく現われた。御者は座席の奥に辷りこんで睡って居る。馬が疲れた動物の本能で首をたれたまま広場の中央を一直線に斜かいに車をひっぱって横切った。馬の首から尻尾までは変にのびて見えた。

再び静寂。蒼白な瓦斯燈――雀が暫く囀って朝のどよめきが起るのだが、Vaugirard の黎明に都会らしい疲れた燈火は一つも見えない。家の窓にも街上にも。エッフェル塔は深い朝靄に沈んでいる。マロニエ、アカシアの葉が静かに戦いで St.〔二字分空白〕寺の塔の小さい陶器の時計の字面に反射するどんな人工の光線もない。燕の囀る声がやがて聞えて朝になる。

十五日

昨夜、Y歯がひどく痛み、アスピリンきいて居た間だけやっと眠り、あとはあけ方から泣き声を出した。

七時半起き、板倉さんへ行って歯イシャの adress をきいて St. Logor の先まで行って見たが今日は日曜故 office はしまって居る。自宅不明。そのタクシーで〔二字分空白〕さんのところへ行った。表にシャムブル〔室〕云々と出してある。