Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.953 Zeichen · 124 Bildschirme

Aozora Bunko

二月二十二日

沈丁花のかおりか。

Aは未だ帰って来ない、不安この上なし、久野先生の傷された時を思わずに居られない、

二月二十二日(火曜)

愛らしき夜景

夕方頃、チラチラ粉雪が降った。積るかと思って居ると、小一時間でやんだ。外へ出て見て、自分は空の美しさに心を奪われた。濃碧の空には見渡す限り一点の雲もない。光輝と薄い雪で新鮮な緑に見える木々の葉。あざやかな満月が輝き渡って、まだ薄すらとつんだ雪のとけない、家々の屋根が消えるように耀き、電信柱、枯木の繊細な黒線はたとえようもない美に浮出して居る。星の色々な色の差や大小まではっきり見える。朗かな、澄み切った空を眺めながら歩いて居るうちに、自分の心には、何とも云えない憧れが湧き上った。斯うやってせっせと歩いて居るうちに、いつか、その溶けたはるばると限りない空に踏み込めそうな心持がするのである。

小さいかまえのうちに、橙色の灯かげを漲し、平常よりずっと小さく、箱のように並んだ左右の町筋は、真個に、せまい、むっとする「うちのなか」の感を与えた。

あの何か見えぬ悦びに透明な天、そこは「そと」で、あすここそは軽く、活々とし、新鮮だと云う印象を強く心に刻みつけるのである。