Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.953 Zeichen · 124 Bildschirme
三月三日
三月五日
三月九日
三月十日
思想が来ないことはない。
表現に苦しむのだ。巧く書こうとして苦しむ。よりよき表現を得ようとして苦しむ。と云える。然し、此をよく考えて見ると、巧く、と云うのは、外内の関心では、ないのだろうか、よく、よりよき表現を持ちたい、と思うのは、本能である。巧く――と云うと、本道を踏はずしたが故に迷うのではないか。
三月三日(木曜)
皇太子、渡英の途につかる。
三月五日(土曜)
野上ヤエ子氏に対する公開状を終る、つくづく柄にないものを負うたと云う感、自分がよくない態度だったのだろう。
三月九日(水曜)
仕事につかれた時にスケッチを始める。
此はものの線、影を正確に見るために必要。「ある」と云うことを、私共は何の不思議なく感じて生活して居る。けれども、一つの美しい壺なら壺がある、と云うことは容易なことではない。奇妙な感に打たれる。
画家の驚異が分ったような心持す。
三月十日(木曜)
浅春、と云う感じが狭い庭に満つ。
樫の木にいつの間にか、下枝の葉が殖え、沈丁花の蕾がふくらみ、紫陽花の巻芽が大きくあざやかな萌黄に成った。日にてる金褐色の幹と丸い、緑のぼっちとの対照は美しい。