Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.953 Zeichen · 124 Bildschirme

Aozora Bunko

十月十五日

十月十六日

よく考えると恐ろしいほどの感謝が湧く。

今日は急に暖く、おしろいを買いに行かなければならないのにあたたかすぎて出られなかった。

降誕祭の脚本のためのXマスプレーの材料をしらべ。エステル書がどうかと思う。

サムソンとデリラはもう誰でも書いたし、サロメもふるいし、珍らしいものと云ったら、門井も此位ほか思いつくまい。あとで彼が、その内容について種々思いめぐらすのにもよい材料と思う。

十月十五日(土曜)

快晴、すずしく寒い西南の風が吹き通る。桐の葉きばみ、深夜、枕に虫の声が通う。

冬着入かえのためにトランクをあけ、紐育時代の外套、ビロードの着物のかびたのを見、うたた思い出に堪えず。れんめんとして、あの頃が甦って来る。

一枚の古着に誰が注意を牽かれよう。しかし自分にとっては、暫く手を止め、数分の忘我を誘う力をもって居る。又いつ此のようなものを着、あの空気の軽いブロードウェーを歩くか。

茶色のラシャの地に、バンユートランドの夕暮が漂う。

十月十六日(日曜)

快晴、空を仰ぎ、考える。

実に透明だ。先ず、日をすかして居る桐の梢を見あげると、其処には、まだ色づき切れない沢山の葉が、各々の不規則な曲線で空を画って居る。