Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
六
「もし、お職人さん」
と、呼びかけてたずねた。
「――いったい、あれや何です。何があそこに建つんですえ」
為は、ぶっきら棒に、
「碑さ」
「碑はわかっているが、たれの碑で」
「うるせえなあ。ここを通るやつは、きっと訊きゃあがる。分らなければ分らねえでいいじゃねえか。建ったら、お詣りにおいで」
「でも、畠のなかへ、いきなり出来るものにしちゃあ、おそろしく、立派じゃございませんか。たれか、金持の地主でも、あそこに守護神を祀ろうとでもいうんで?」
「なにを、この野郎」
「……おや」
「なにが、おやだ」
「怒らなくってもいいじゃありませんか」
「怒らずにいられるか。いうにことをかいて、金持の守護神の碑かとはなんだ。やいっ」
「褒めたんだからいいじゃありませんか。すばらしい碑が建ちそうだから、それで」
「よしてくれ。こうみえても、おれたちのしている仕事は、そんなものたあものが違うんだ」
「へえ……。では、誰ので」
「謹んで聞けよ。楠木正成公の碑だ。見ろ、あの小屋にさえ、注連縄を張って、おれたちは、精進潔斎してやっているんだ」
「楠木? ……なんていうひとですって」
「正成公。正成公を、知らないのか」