Japanische Klassiker mit Furigana
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme
嵯峨善兵、井上清の両君、見送りに来てくれている。
少し時間があるのでオペラの方へ最後の買物に一同と歩く。うす靄がかかっていて風もない。
「だんだん帰るのがいやになって来たね。」
と云うと、そこがパリーの良さだと皆云う。パリーに長くいる人は帰るときには泣くそうだ。地球の上にこのような都会が一つあるのは人類の誇りであろう。
朝十一時、パリー出発。飛行館のバスがいっぱいのため飛行場まで樋口君一人にしてもらう。
「あなたが帰られた後、どうしたら良いだろう。淋しくなるなあ。」
と樋口君が飛行場で云う。
「早く君も日本へ帰りなさい。長くいちゃいかん。」と私は云う。
「ほんとに良いことを云って下さいました。私も早く帰ります。」
樋口君は私より一船後でパリーへ来た人であるから、私にとっては同期生のようなものだ。飛行機に乗って窓から見ると樋口君が写真機を私の方へ向けている。しかし私の姿は見えないのであろう、一向に私の上げている手には気附かない。そのうちに漸くにッと笑って応じる。機のドアが閉る。すると、もう機体は空へ舞い上る。
機は五百米の高度を保ってパリーをだんだん離れて行く。