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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうしゅうきこう

欧洲紀行

横光 利一

Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme

Aozora Bunko

五月一日

五月二日

五月一日

曇っている。風邪気味だ。

午後初めて前の広い墓地の中へ這入ってみた。モウパッサンの墓がある。花の落ちた薔薇が墓石に延び上っている他に、光沢のない名の知れぬ汚い花が咲いている。死ねばこうかと思う以外に急に作家の苦しさが身に滲んで、急いでその傍から遠ざかった。

次ぎには行くまいと思ったボードレールの墓の前へ出てしまった。このボードレールの石像は、よく出来ているので有名だが、私はこのポーズが嫌いである。顎を支えて前方を睨んでいる恰好は散文家ならしない。陰鬱な樹の下影に寝像もある。しかし、私には裏の石塀に滲んでいる鉄錆の方が、はるかに彼の詩を読む思いがした。

微熱があるのであろうか、押し詰った墓石の寒さが、足もとをぞくぞくさせる。落ち塊っているプラターンの花の上を、足早やに通りへ出ると、街はメーデーだ。寒い。

一緒に行った樋口君がモウパッサンの墓にあった花を折って、私のポケットに押し込んでくれたのがふと手にふれたので、街角で私は花をやった。ここのメーデーは行列の代りに街で鈴蘭を売るのだ。幸福を皆にもたらせるようにと。

五月二日

たしかに少し神経衰弱の気味がある。