Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
三十二
三十二
「じゃ、君が殺した殺したといっているのは、あの三造のことだったのですか」
「そうですよ。誰だと思っていたのです」
「いうまでもない、芸妓の長吉です。この事件には長吉の外に殺されたものはないじゃありませんか」
「ああ、そうそう、そうでしたね」
私はあっけにとられて、河野の頓狂な顔を見つめました。一体どうしたというのでしょう。この事件には、何か根本的な大錯誤があったのではないでしょうか。
「長吉は死んでやしないのですよ。かすり傷一つ負っていません。ただ姿を隠した切りなんです。僕は自分のことばかり考えていたものだから、つい大切のことをお話しするのを忘れてしまったのですよ。死んだのは三造一人です」
この事は、覗き眼鏡の影に驚かされた時、私も一応は考えぬではなかったのです。あれはただ狂言に過ぎぬのではないかと。しかしその節も説明して置いた通り、様々の事情が到底そんな想像を許さなかったではありませんか。それ故、今河野の事もなげな言葉を聞いたばかりでは、却て馬鹿にされた様な気がして、俄に信じる気にもなれません。
「本当ですか」私は半信半疑で聞き返しました。「そんな死にもしないものの為に、警察があの様な大騒ぎをやったのですか。