Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
二十一
「ヘエ、そりゃもう、確でございます」
三造は、昂然として答えました。しかし、私はこの愚ものの言葉を、俄に信用していいかどうか、判断に苦しまないではいられませんでした。初めの曖昧な調子に比べて、今の断定は少しく唐突の様に見えないでしょうか。そこで、私は更に質問をくり返して、三造の危げな記憶を確めようと試みましたが、どういう訳か、彼はその時の入浴者が河野であったことを、むやみに主張するばかりで、それについて何の確証もなく、結局私を満足させることは出来ないのでした。
二十一
私はこの事件について、最初から一つの疑問を抱いておりました。それが、今三造の告白を聞くに及んで一層深くなったのです。仮令相手が愚ものの三造であるとはいえ、そこには風呂番専用の小さな出入口もあれば、客に湯加減を聞く覗き穴もあるのですから、もし彼が焚き場にいたとすれば必ず兇行を悟られたに相違なく、それを知りながらあの大がかりな殺人を(或は死体切断を)やるというのは、余りに無謀なことではないでしょうか。
或は犯人は、予め三造の不在を確めて置いて兇行を演じたのかも知れません。しかしそれにしても、夜食をとっていたという僅の時間に、どうしてあれだけの大仕事が出来たのでしょう。