Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

やあ者ども、この鉄門の前へ焼草をつみあげい」

たちまち、山と積まれた枯草の束。はこばれてくる獣油の瓶、かつぎだされた数百本の松明。

洞門のなかでは、それとも知らず、必死にあえぐ忍剣と小文治のかげ。と――いきなり、バラバラバラ、バラバラッ! と上ののぞき口から投げこんできた枯草のたば! つづいて焔のついた松明、獣油の雨、火はたちまちパッと枯草についた。いや、ふたりの袖や裾にもついた。

火は消しもする、はらいもする、が、もうもうと間道のなかへこもりだした煙はおえぬ。しかも異臭をふくんだ獣油の黒煙が、でどころがなく、渦をまいてふたりをつつんだ。

目からはしぶい涙がでる。鼻腔はつきさされるよう、咽はかわいて声さえでぬ。……そこにしばらくもがいていれば煙にまかれて窒息はとうぜんだ。ふたりは歯ぎしりをしながら、煙におしだされて、しだいしだいにあともどりした――といっても、充満している煙の底をはいながら……

間道の半ば過ぎまで引っかえしてきたころ、ふたりは、やっとどうやらうす目をあいて、たがいにことばをかわせるようになった。

「や、小文治どの、どうやらここは、先刻すすんでいった間道とはちがうようではないか」