Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
だから二本の煙が大股にひらいてでて、かたわの鼻が顔中にいばっているような壮観をあらわすのだった。
「な、なるほど。こいつはおそれいった鼻だ」
と、熊蔵も吹きだしたいのをがまんして、横を向きながら腹の皮をおさえた。
ゆうゆうと紫煙をふかしていた卜斎は、はなはだ、けしからん顔つきで、
(なんじら! なにを笑うか?)
と、口にはださないがギョロギョロした。
雲ゆきが悪い! 気がつかれては大へんだぞと、そういうことには敏感な蛾次郎、ポイと立って断崖のふちから谷をのぞきこみ、
「ウーム、みんな見えなくなった。いまに竹童をかつぎあげてくるだろうな……」
と、つまらないひとりごと。
「親方」
「なんだ!」
はたしてごきげんがわるい。
「まだ兵糧をくばってきませんネ」
「寝るから起きるまで、食うことばかりいってやがる」
「いえ、わたしゃなんともないけれど、親方が、定めしお腹がなんだろうと思って」
「よけいな心配をするな」
「へい」
「それよりきさまも谷間へ降りて、なぜご一同と一しょにはたらかないか、なまけ者めが」
「オッ、帰ってきた!」
ジッと見おろしていた伊部熊蔵が、こう叫んで待ちうけていると、そこへ小頭の雁六、どうしたのか真ッ青になって、息をあえぎながら登ってきた。