Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme

Aozora Bunko

じつは、怪人はコップを手に持って、水をのんでいるのですが、顔も手もすきとおって、見えないので、コップがひとりで、宙におどっているように感じられるのです。水がコップから流れだしても、けっして、下へこぼれません。目に見えない怪人の口の中へつぎこまれているからです。

大友君は、透明怪人の話は、たびたび聞いていましたが、見るのは今が、はじめてでした。そして、あまりのふしぎさに、すっかりおどろいてしまいました。夢でも見ているのではないかと、うたがわれるほどでした。

なおも、のぞいていますと、怪人は、こんどは、テーブルの上のたばこをとって、ローソクの火をつけて、スパスパと、すいはじめました。一本の白いまきたばこが、パジャマの上の空中に横になったまま、じっとしています。そして、一方のさきが、ときどきポーッと赤くなり、そのたびに、空中からけむりがわきだします。怪人が鼻と口から、けむりを、はいているのです。

大友君が、このふしぎな光景を、むちゅうになって、のぞいていますと、うしろのやみの中に、サーッ、サーッと、着物のすれあうような音がしました。そして、だれかが、自分のすぐうしろで、息をしているような気がしました。