Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
宙に浮く首
」
小林君は、立ちかけた腰をおろして、首をかしげました。しかし、なんだか胸がドキドキしてしかたがありません。ああ、いまにも、ゾッとするような、おそろしいことがおこるのではないでしょうか。
宙に浮く首
寝台の上の勇一少年は、魔法博士の催眠術にかかったのか、目をとじて、ねむったように身うごきもしません。
博士は、寝台から二メートルほどはなれたところに立って、やはり勇一少年を見つめたまま、白コウモリのようなマントを、パッとひるがえして、両手をながくのばし、ヘビのように波うたせながら、空中を、上へ上へと、なであげるようなしぐさをつづけました。
すると、ああ、ごらんなさい。寝台の上の勇一君のからだが、寝たままの姿で、ジリリジリリと、宙に浮きあがってきたではありませんか。
勇一君のからだと寝台とのあいだが、もう二センチほどもひらきました。そして、そのひらきが、みるみる大きくなっていくのです。五センチ、十センチ、二十センチ、動くか動かないかわからぬほどの早さで、しかしすこしもやすまず、上へ上へとのぼって行きます。
まっ黒な背景の前に、勇一君の白い道化服の姿が、クッキリと浮きだして、なに一つ、ささえるものがない空中に、横に寝たままのかたちで、しずかに浮いています。