Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
特徴のある喉声をたてて素子もふきだした。笑い声のなかから、小枝が、
「わたしだって、あやしいもんだわ」
思いもうけなかったところで、多計代とあんまりちがいそうもない自分を見つけ出したことにおどろいた眼だった。
「じゃ、小枝なら何て云ったと思う?」
「何ていうかしら……ともかく、ちょっと考えたろうとは思うわ。ミスタ・佐々というにしろ――」
飾ったところのない云いかたをした。
「だって、考えてみれば、わたしたちが女学校でならった英語には、父とか良人とか云う言葉はたしかにあったけれど、その父や良人を自分からはなして、三人称?――ミスタ誰それ、っていう場合は、はっきり習わなかったみたいだわ」
「そこに、日本のいわゆる『家庭』ってものの、急所があるんですよ」
素子が、瞳のなかに鋭い光を浮べた。
「女は何よりさきにおれの女房だし、わたしの母さんなのさ。ミセス誰それっていう、独立の存在がありますか」
うすく顔をあからめて、素子は半ば冗談に半ば辛辣に云った。
「日本じゃ、ミセスどころか、そもそもミスが人格をみとめられちゃいないんだから……。もっともミスもわたしぐらいになると、上にオールドがついて、幾分ちがいますがね」