Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「実は、僕たち、云い出そうかどうしようかって、大分遠慮していたんだ。知っていらっしゃると思ったもんだから」
「そんなお前。――ほかのこととはちがいますよ」
ロンドン市内のどこかに小さい家の一軒も持っている中流階級の経済事情は益々きりつまって来ていて、ミセス・ステッソンのところが未亡人の家だからというだけでなく、市の中心からはなれたエスモンド街あたりには、まだガス燈をつかっている家が軒並だということだった。そう聞いて伸子は思いあたった。ロンドンのいろんな新聞に出ている貸室の広告には、いつも電燈と特別に説明がついていた。黒い絹服を上品に身につけて、泰造が立派な英語だとほめた言葉づかいのミセス・ステッソンが、淑女らしい権式で門限のことや日曜日の冷い料理のことを云いわたしながら、佐々たちが借りようとする室を見に二階へ行ったとき、その部屋にガスをつかっているということについては、ひとこともふれなかった。ミセス・ステッソンとすれば、ロンドンでは、そういうことは、借りての方からきくべきこととしているのだろう。ガス燈は、公然と、誰の目にも見えるように天井から下っているのであるから、と。