Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
クレムリンの城壁とその城壁の上空にひるがえっている赤旗。素子がパリにいたころ、ヴォージラールのホテル・ガリックの七階の暑い部屋のテラスから二人で見晴したパリの屋根屋根。そこに林立している無数のパリ独特の細い煙突。はるかなエッフェル塔と、それに加えて伸子は、もらった小切手で買おうと思っているマチスの素描集の表紙の絵をかき添えた。そして、地図の丸い目玉をかいてヴェルサイユ門と註したところから、おもちゃの電車が走ってクラマールへついたところに、ベルネのお婆さんのふくらんだ大前掛の姿が現れ、でこぼこの大きい西洋梨があり、「資本論」がある。それらは、伸子がこれまで書いているたよりの中で、みんな素子に知られているはずのものばかりだった。
弱い、不確なペンの線で、次から次へとそんなものを描いているとき、伸子の心は涙ぐんで、最初の九十九円七十五銭を自分にくれた吉見素子のこころもちと、絶えずいかめしく、娘である自分を警戒している母の多計代のモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)での仕うちとを、思いくらべたのだった。
「ですからね、わたしは、きょうの八百五十六フランは特別大切に使うの」