Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「じゃ僕が葡萄酒とデセールをうけもつ」
つましい献立ながら、商談をしながら、それでもパリ市民らしく、昼飯を味っている中年の男女がこみあっている店内には、やすものの葉巻の匂いが立ちこめていた。伸子は、蜂谷良作につれられて、得体のしれないこんなごたついた場所で食事をしたりするのを面白がった。まだ佐々のうちのものがパリにいたころのある日曜日に、蜂谷は伸子を、有名な「のみの市」へつれて行った。伸子は、正体のわからないような古ものの間をのぞきこんで、いわゆる掘り出しものをすることに熱中するたちの女でなかった。それよりも「のみの市」からすこしはなれて、一廓を占めているパリ郊外の、労働者の日曜日の遊び場の光景が、伸子をその活気と無頓着さでよろこばせた。蜂谷と伸子とは、自働ピアノの鳴っているレストランの粗末な椅子にかけ、むき出しの木のテーブルに向って、そこで食べている人々のとおりに、生カキをたべた。あたりの人のたべかたをまねして、カキの貝殼を手にもち、そこにたまっている汁を吸ったとき、それはつめたく爽やかで、海の香がした。帰りしなに、そのレストランの裏口のところを通ったら、日本の烏貝のような大きな黒い貝殼が山とすてられていた。