Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
いつだったか伸子は蜂谷良作からそういう話を、きいたことがあった。
「トミ子は、しっかりものかもしれないけれど、時によるとやりきれないぐらい経済主義なんだ」
「もしそうなら、それはあなたの責任じゃない?」
伸子は、蜂谷良作のわきからはなれ、彼と足をあわせるのをやめて歩きだした。
「そういう話はおやめにしましょうよ――賛成して頂戴」
「…………」
「こんなこと話していつまでも歩いているの、なんだかいや」
デピュテの角で地下電車の停車場へゆっくり石段を降りてゆきながら、伸子は、
「蜂谷さん、約束して」
と云った。
「わたしたち、センチメンタルにならないって約束しましょうよ、その方がいいわ」
電車が出て行ったばかりのところと見えて、プラットフォームにはまばらに乗客が待っている。蜂谷良作は伸子の前を往ったり来たりした。
「こんやの佐々さんは、いやに何でも避けるんだなあ」
彼は伸子の前にぴったり立ちどまった。
「僕は第一ホームシックで云っているんじゃない。それから、あなたのいうようにセンチメンタルになっているんでもない。それだけは承認して下さい」
「――むずかしい註文だわ」
云っている言葉のがんこさに似あわず、伸子は優しい目つきだった。