Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
九
でも、どうして彼は、伸子が柔かくこまった気持になりながら、同時にその半面で批評的にならされたほど感情的だったのだろう。
素子がパリにいた夏のころ、クラマールの終電車にのりそこなった蜂谷が、ヴォージラールのホテルで素子の部屋へ泊ったことがあった。夜なかまで三人は露台のところで話していた。何でもなく、さっぱりとあれこれのことを話していた。
伸子ひとりがロンドンからパリへ帰って来て、モンソー公園を一緒に散歩したりしたとき、蜂谷には、格別なところがなかった。伸子は、そういう彼に安心して、親しいこころもちをもった。
伸子が彼との間に求めているのは、あぶなっかしいところのない友達としての感情だった。女同士の友達で女が感じあうものとは、自然どこかちがった趣のある男の友達としての蜂谷良作を、伸子は親しく感じているのだった。クラマールへ越して来る前後から、蜂谷良作は伸子の日常生活の習慣のなかに、きまった場所を占めるようになった。伸子はそれを拒絶していない。だからと云って、伸子は蜂谷に魅せられているのではないのだった。蜂谷良作は、伸子にとって、魅力があるというたちのひとではない。