Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
十三
案内役をかねた運転手も、その店の一方の隅のテーブルで食事をし、いまはタバコをくわえて男たちばかりの仲間でカード遊びをしている。
同行の男のひとたちをタバコの煙のなかにおいて、伸子はすこしはなれた長椅子のところで脚をのばしているのだった。タイルで床をはられた店内に、あまり十分でない明りにてらされている十三四人の人間がその夜ヴェルダンで生きている人間のすべてであるようだった。
マース河の河岸よりにひとかたまり旧ヴェルダン市の破片がのこっていて、そこに土産物を売る店があった。ごたごたしたその小店とその内に動いていた人々の姿を思い浮べることができるが、その河岸の店の灯の色と伸子がいるカフェー・レストランの内部との間には、深い沈黙の夜がひろがっている。
生きているもののない夜の沈黙の深さは、何と独特な感じだろう。六人の日本人はみんな口かずの少い一日をすごした。一日の周覧を終って、いくらか葡萄酒のほてりが顔色にあらわれていても、男のひとたちのテーブルから笑声は立たなかった。どこでも同じことだなあ。一将功なって万骨枯る、というのはまったくだ。ドゥモンの要塞から下って来るとき、一行のうちの誰かが感じふかそうにつぶやいた。