Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
その感慨は、六人の、みんなの心に流れているのだったが、伸子には、疲労ともつかない肉体と心の苦痛の感覚があった。その感覚は、とらえどころなく伸子の内心にひろがっている激しい抗議の感情に通じた。そしてしずかにカード遊びをしている四人の男を見まもっている彼女の瞳のなかに、黒い、きつい焔をもえたたせているのだった。
午後じゅう、ひき裂かれた戦跡をめぐって来た伸子の体と心を、いま貫いて焦らだたせているのは率直な、譲歩のない生への主張だった。巨大な死への抗議だった。ヴェルダンというところは「フランスのために」という言葉で現実を欺瞞する人々の作品だと、伸子には思えて来るのだった。悲壮に、英雄的な行動の記念としてしつらえられているすさまじい破壊の跡は、戦争の罪ふかさとそれが誰のためにたたかわれたものであるかということを考えるより先に、破壊力の偉大さで人々をおどろかせる。おどろいて心をうごかされた善良な人々は涙もろくなり、戦争そのものと、それをおこす者どもがあることをいきどおり拒むよりも、そこで命をおとした人々をいとおしみ、神よ、彼らに平安を与えたまえ、と祈ってヴェルダン発の汽車につみこまれてゆくにちがいなかった。