Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
同じ箱のあっちの端にも同じあかりがついているが、その光りでものを読むことは不可能だった。
ひろい闇の中に小さく電燈をきらめかせているいくつかのステーションをすぎたとき、伸子が、
「すこし寒くなって来たようじゃない?」
と云った。蜂谷が自分の合外套をぬいで、伸子に着せかけようとした。
「それじゃあなたが風邪をひくわ」
「僕はいいんだ」
「ほんとに?」
蜂谷はうなずいた。
「じゃ、かして」
その外套を羽織って伸子は窓とうしろの羽目の隅に肩をよせかけるようにして目をつぶった。
「眠るとほんとに風邪をひくから駄目だ」
「眠りゃしないわ」
背中は少しぞくぞくするようなのに、頭のしんはあつくて、それは、一日じゅうオープンの自動車にのって風をつっきって走ったからだ、と伸子は思った。
「気分がわるい?」
「いいえ」
シャロンのステーションは、この地域でもいく分大きい町らしく、明るい駅頭に乗り降りする人影が黒く動いたが、伸子たちの車室へは入って来る乗客も降りてゆくものもなかった。もしかすると、伸子たちのところからは見えない仕切板のあっち側には、誰ものっていないのかもしれなかった。
「何だか僕もすこし寒くなって来たみたいだ。